2011/11/14 (更新日:2011/11/14)
落合監督クレームで連勝呼んだ「じっと見てるだけ」
11月14日(月)
◇日本シリーズ第2戦 中日2―1ソフトバンク(2011年11月13日 ヤフーD)
あと2勝だ――。「コナミ日本シリーズ2011」の第2戦は13日に行われ、中日が第1戦と同じ延長10回、同じ2―1のスコアで制した。森野将彦内野 手(33)が試合を決める左前適時打。落合博満監督(57)が序盤に内川聖一外野手(29)のバットのグリップにクレームをつけるなど、「オレ流」が流れ を呼び込んだ。シリーズ史上初となる開幕からの2試合連続延長戦勝利。連勝スタートのV確率79%と、落合政権が8年間の大団円を迎えようとしている。
その瞬間、ベンチの落合監督が笑った。1―1の延長10回。2死からつかんだ一、二塁のチャンス。打席に入った森野が、ボール1球を挟んだ3球目、外寄 りの速球を逆らわずに左前にはじき返すと、二塁走者の荒木が三塁を一気に回り、頭から本塁に滑り込んで待望の勝ち越し点を奪った。
第1戦に続き敵の守護神・馬原を攻略した。重圧のかかる場面でも森野は「低めに投げようとしていたので、低めは振らないように」と冷静だった。落合監督 は「選手はいい野球をやっていると思います。彼らには経験がある。ベンチでじっと見ているだけ」と話したが、実際にはじっとしてばかりではなかった。
0―0の3回1死一、二塁。序盤最大のピンチで打席には初回に中前打を放っている内川。ここで指揮官はベンチの奥から飛び出した。本田球審に歩み寄ると 「バットのグリップの形が変わっているから、何か入れているのではないか。確認してほしい」と注文を付けた。グリップに巻いてあるテーピングを外して中身 を確認。野球規則には抵触しないとして試合は再開されたが、水を差されたパ・リーグ首位打者は、中飛に終わった。
シリーズ史上初の開幕から延長戦での連勝。お立ち台に上がった落合監督は「勝てばいいです。何回やろうが」と目を細めた。同じ10回、スコアも同じ。自 らの好アシストで序盤の失点を防ぎ、1点を争う中日の野球に持ち込んだ。敵地ではあるが、試合展開は自らの土俵だ。あとは、8年間で鍛え上げた選手たちを 信じればいい。
その期待に応えた森野は特に手塩にかけた。就任時から厳しいノックで守備を鍛え上げ、試合に出すことでセンスの光っていた打撃を磨き上げた。「レギュ ラーを獲れたのも監督のおかげ」というチームリーダーは、「監督を最後に胴上げしたい」と言い切った。退任が決まっている指揮官を愛弟子たちが、盛り上げ る。落合監督は「名古屋に帰って第3戦、キチッとした野球をやらせたい」。連勝スタートはV確率79%。自身2度目の日本一を名古屋で決めるシナリオは書 き上がっている。
▼本田英志球審 落合監督からグリップの形が変わっている、何か入れているのではないか、確認してくれと言われた。テープの下にスポンジ状のアンダー ラップみたいなものが巻いていたけど、ルールブック上は違反ではないので、確認してOKとなった。野球規則の1・10c、6・06dに抵触していないこと を確認した。
◆野球規則1・10c バットの握りの部分(端から18インチ=45・7センチ)には何らかの物質を付着したり、ザラザラにして握りやすくすることは許されるが、18インチの制限を超えてまで細工したバットを試合に使用することは禁じられる。
6・06d 次の場合、打者は反則行為でアウトになる。打者が、ボールの飛距離を伸ばしたり、異常な反発力を生じさせるように改造、加工したと審判員が判断するバットを使用した場合。(一部抜粋)
≪4戦連続延長は初≫中日が前日に続き延長10回に勝ち越し点を挙げ2連勝。2試合連続延長戦勝利はヤクルトが92年5、6戦と95年2、3戦、阪神が 03年3、4戦で記録しているが、初戦から2試合連続は中日が初めてだ。これで中日は昨年の6、7戦から4試合連続延長試合。3試合連続は92年5~7戦 ヤクルト、西武、95年2~4戦ヤクルト、オリックスとあったが4戦連続は中日が初のケースになった。
≪連勝でV率79%≫過去シリーズ1、2戦に連勝は29度あって23度優勝。V確率は79%と高い。特に今回の中日のように敵地連勝から本拠地に戻ったチームは12度のうち10度優勝。V逸は80年近鉄と00年ダイエーだけで、中日が断然有利になった。 (ニュースより)