2011/05/17 (更新日:2011/05/17)

銀輪の死角:年間1000人弱の事故死者、先進国で突出 交差点の専用道整備急務

交通事故&スポーツ情報

銀輪の死角:年間1000人弱の事故死者、先進国で突出 交差点の専用道整備急務

 

 自転車事故の7割超が交差点に集中し、その主要因は自転車の歩道走行にあるという分析結果が明らかになった。国内の自転車乗用中の死者は年間 1000人近くで先進国の中で突出。欧州各国では道路幅が狭くても交差点付近の車道に自転車用通路を確保するなど対策が進んでおり、国内でも同様の対策が 急務となっている。【馬場直子、北村和巳】

 元建設官僚で住信基礎研究所研究理事の古倉宗治氏によると、車のドライバーにとって自転車の歩道走行は街路樹などで死角となるだけでなく、自転車 の存在感を薄れさせる「心理的死角」を生む。自転車の利用者も車への意識がにぶるという。このため、車道より歩道を走行する自転車の方が事故に遭う確率が 高い、というのが古倉氏の分析だ。

 自転車の歩道走行は交通事故死者が史上最悪になった70年、車との接触事故を減らすため例外的に導入された。だが、40年余を経た現在、逆に事故多発の要因になるという事態が生じている。

 国内での自転車乗用中の死者(事故後30日以内)は、80年の1366人から08年は971人と約3割減だが、同期間にフランスは715人から148人へと約8割も減少。英国やドイツ、オランダも3分の1近くに減り、先進国の中で日本の死者は飛び抜けて多い。

 欧州では自転車の車道走行を徹底する。さらにロンドンなどの主要都市では、自転車用通路を設置できるほど道路幅が広くなくても交差点やその付近に だけ車道に自転車のマークを付けて通行部分を明示したり、車の停止線の前に自転車の停止位置を設けている。古倉氏は「こうした先進事例は日本でも参考にな る。自転車の存在を認識させることで事故は大幅に減らせる」と指摘している。

 ◇歩道走行、出合い頭も危険

 交差点で車が右左折する際に自転車と接触する事故だけでなく、車が路地から大通りに進入する際に起きる出合い頭事故でも、自転車にとっては車道より歩道を走行する方が危険だ。

 国土交通省国土技術政策総合研究所が東京都内のある幹線道路で02~05年に行った自転車事故調査によると、脇道から出てきた車と幹線道路を走る 自転車との出合い頭事故計79件のうち、車道走行は8件だけ。歩道走行の71件をみると、車道寄りの走行が25件だったのに対し、建物寄りは46件。同じ 歩道上でも、ドライバーにとって死角になりやすい建物寄りを走行する方が、より事故の危険性が高かった。

 警察庁によると、09年の自転車事故15万6373件の54%、8万4508件が、車やバイクなどとの出合い頭事故となっている。

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 ◇自転車乗用中の死者(事故後30日以内)

      80年 08年

日本   1366 971

米国    965 716

ドイツ  1338 456

フランス  715 148

英国    316 117

オランダ  425 145

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